私たちは生まれてすぐ、母親または母親の役割をする人と出会います。
そして生後1歳半くらいまでに【愛着】が形成されます。
愛着が形成されると、その相手のことを「絶対に安全で信頼できる人」と思います。
そして成長とともに、少しずつ目が外に向き始め、
一人で砂場で遊んだり友達と遊べるようになっていきます。
ですが、例えば虐待を受けて育ったとすると(暴力・暴言・ネグレクト等)
その子どもの愛着はうまく形成されず、後々【人との距離感が分からなくなり】、
大人になるにつれて人間関係を円滑に保つことができなくなっていきます。
また、一般的な家庭で育っても、両親とのかかわりに情緒面が不足していると
愛情を感じにくくなってしまう可能性もありますし、
両親との愛着がうまく形成された後でも、学校でのいじめやその他の人間関係によって
愛着が傷ついてしまうこともあります。
つまり、誰でもいつでもその可能性があるということですが、
【不適切な関わり方】が人の心に影響するということが分かっています。
別の見解もあるかもしれませんが、次のようなタイプの人は
愛情不足または、愛情を感じにくい体質かもしれません。
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相談事例:昔から人間関係のバランスがうまく取れなくて困っている。
親しい友人ができると、その人のすべてを自分のものにしたくなったり
交際相手の生活を全部監視するくらい知りたくなったりしてしまう。
他の人にとられてしまうのではないか、見捨てられるのではないかと
不安が強くなり、その結果関係が破綻することを繰り返してきている。
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⇒この事例では、友達でも恋人でも、会えない時間に何をしているか気になってしまい
悪いことばかり起きるような想像をしてしまって、相手を信頼できないところがポイントです。
相手にも仕事や都合があることは頭では分かっていても、
「心変わりするのではないか」「自分を忘れてしまうのではないか」などと
一人で考えて、根拠のない事実や感情を相手にぶつけてしまうケースもよくあります。
相手にとってみれば、突然何を言い出すのか、なぜ疑われているのか分からず
当事者の精神不安定な部分に付き合いきれなくなって、関係が終わります。
愛情不足で育った人たちは、【自分を認めてくれる人を特別な人だと勘違いしやすく】
それが本当の愛や友情なのかの判断がし辛いことが多いです。
本当の自分の気持ちに気づくためには、まず過去の清算と現実の自分を知ることなど
気持ちの整理をすることが大切かと思います。
気を付けておきたいのは、相手がカウンセラーなどの専門家であっても
【猜疑心が強いので】安心して心を開くまでに時間がかかるということです。
「この人は絶対に安全な人だ」と本人が感じられるようになるまで時間がかかり
愛情回復のためには根気よく関わっていくことが大切です。